長崎剛志/N-tree 28周年記念庭園美術展「原始庭苑」開催中です！

ギャラリー5610では、庭園美術家でN-terr代表 長崎剛志さんの28周年の活動を記念した展覧会を開催しています。

長崎さんは、石、木、空気、人間の根元的な関係によって生みだされる庭を、自ら庭園美術と呼び、表現活動をなさってきました。

本展では、写真、映像、図面や試作模型、庭を構成する様々な素材を使ったインスタレーション作品、石の彫刻や木板画など、２８年間の軌跡をギャラリーの屋内外に展示し、長崎さんの創作活動の原点をご覧いただきます。

古都奈良で幼少期を過ごした長崎さんは、建築家のお父様に連れられ身近に神社仏閣に接します。自らを「木目フェチ」と呼ぶほどの柱へのこだわりは、東大寺南大門の柱を見たときの衝撃からだそう。京都東寺にある仏教高校卒業後、田中一光氏デザインの「なら・シルクロード博」（1988年）のシンボルマークをきっかけに、もともと絵を描くことが好きだったということもあり東京芸術大学美術学部絵画科に進学します。

在学中にスペインに渡り、マドリッド・コンプルテンセ美術大学で聴講生として油絵を学び、復学後木版画や木彫を始めます。1991年から数回、アメリカ・サウスダコタ州のラコタ族のレザベーションを訪れ自然・樹木に対する信仰を経験、大学卒業後に独学で作庭を学び、1997年にN-tree (庭ノ心 ながさ木)を設立します。

2008年〜2010年には、イギリス・ロンドンでの作庭が“ART GARDEN”として批評され、海外のプロジェクトに繋がっていきます。帰国後、東日本大震災では以前からつながりのあった仲間と「復興支援プロジェクト 庭JAPAN」として松島、石巻などで支援活動に取りみます。
「作品作りは、足したり、引いたり。庭づくりと同じ」と長崎剛志さん。庭師として切った木の切り株を版木にした作品や、以前描いたキャンバスから切りとって小作品を発表するなど、常に現在進行形の作品へ取り組み方は、庭づくりと通じるようにお見受けいたします。


庭師のお仲間とオリジナルTシャツ「森森磊磊（しんしんらいらい）」を着用して屋外作品の前で。
森森磊磊 Tシャツは、スパティオで販売しています。

2024年に竣工した、長崎県諫早神社の江戸期に作られた庭園を改修した神仏習合の庭「諫早神社の御神苑」の計画案のひとつも室内に再現しています。

N-tee設立の頃より、障害者芸術をサポートするエイブルアートムーブメントに参加し、展覧会のキュレーションなどにも関わります。

日曜日には、見えない方、聞こえな方と巡るギャラリーツアー「手で話す。触って話す。」が開催されました。今回のように参加者全員が作家とコニュニケーションをとりながら作品を鑑賞していくという試みは、実は海外に比べ日本の方が一歩進んでいるのだそう。

現在長崎さんは東京に拠点を置き、世田谷の個人邸、ロンドンの集合住宅の中庭など国内外のプロジェクトを進めています。ここまでご紹介してきたように、大変ユニークで魅力的な活動をされている長崎さん。会場には作品に関するキャプションはございません。長崎さんにお声がけいただき作品をより深くお楽しみいただければと思います。展覧会は10月5日までです。
作品集のご予約も承っています。

●長崎剛志/N-tree 28周年記念庭園美術展9月28日（土）〜5日（土）11：00〜18：00