ギャラリー5610では、昨年末からの外壁修繕工事を終えて今年最初の展覧会となります「木を建てる - 稲山正弘展 東京大学退官記念展」を開催しています。
19年間、東京大学大学院農学生命科学研究科で、木質構造の研究と指導に尽力された稲山正弘教授。教授を中心に裾野が広がってきたといっても過言ではないその構造定理は、木材を積極的に活用した建造物を増やし、木造高層ビル計画を可能にしました。
会場では、建築家の方々と協働して設計されてきた木造建築作品のほぼ全てを、写真や模型に加えて普段はなかなか見ることのできない手書きの計算メモやディティールスケッチなどを交えてご覧いいただけます。
スパティオでは、接合詳細を伝えるためのスケッチなど、当時教授が書かれたままの状態で展示しています。
これらのスケッチは、ぜひにとお願いして展示していただきました。
稲山教授は「木造を学ぶうえで、まずは自分で木を触りながら色々試して自分で作ってみることが原点」と一貫して指導を続けてこられましたが、その一環として、2010年より、研究室の学生たちが五月祭でセルフビルドした木質パビリオンを、5610番館正面のスペースに移築して行うという企画展「木を知り・木を使い・木を活かす」が開催されました。計8回の移築が行われ、木造の構造定理から導かれる形の美しさ、アイデアがちりばめられ、建物の色に映え往来からも目を引く展示となりました。
(vol.1から8までを駆け足でご紹介します。)