パッケージデザイナーの故鹿目尚志先生(1927-2017)の発案ではじまった「パッケージ幸福論」。
クライアントのいる仕事ではなかなか発揮できないであろう創造性の発出に期待して、若手パッケージデザイナーたちに声をかけ、アートディレクターに中島信也さんを迎えて2008年より展覧会を開催してきました。14回目となる本展のテーマは「自分と自分」です。
『展覧会用の「自分」とお仕事用の「自分」がいる。どっちがほんまの「自分」なんや?展覧会がスタートしてから14年、ここであらためて自分の中にいる二人の自分をテーマにすることにしました。14年の間に「自分」は変わったのか変わらなかったのか。一方の「自分」はもう一方の「自分」に何か影響を与えたりしたのかしなかったのか。この「自分」はもう一方の「自分」の足を引っ張っていないのか、あるいはこの「自分」があの「自分」を応援してくれたりしてへんのか…「自分」と「自分」を見つめ直すことはある意味この「パッケージ幸福論」という展覧会の本質に迫るものになるかもしれません。』と中島さんはおっしゃいます。
当初はまだ若手であった彼らも、14年の経過とともに社内で責任ある立場となり、独立した方、美術学校で教える方もいらしてベテランと呼ばれる域になってきました。 会場では、ご自身がパッケージデザインに携わった商品も一緒に展示されました。
作品と並ぶとそれまで見えにくかった個々のひととなりを伺い知ることができます。
丁寧に作品の説明をするメンバーのみなさん。
リーマンショク、東日本大震災、元号が令和に変わり、東京オリンピックなど、この14年を振り返ってみると実にいろいろな出来事がありました。この展覧会で、自分自身の「自分」と「自分」を考えるきっかけをいただいたように思います。
展覧会は残すところあと一週間となります。秋も深まってきました。お散歩がてらお立ち寄りください。
●パッケージ幸福論2022「自分と自分」展
10月23日(日)〜11月6日(日)
平日:11〜18時
金・土:〜19時
日・祝・最終日:〜17時
隣接するスパティオでは、ギャラリー5610の創設者河野鷹思がパッケージデザインを担当した「酒悦」の海苔の缶(1961年)を展示しています。そのほか、パッケージデザイン関連の書籍もございますので、どうぞお立ち寄りください。