6月30日まで『白井晟一の「原爆堂」展~新たな対話に向けて』を開催しています。
撮影:長崎剛志
「原爆堂」は1954年に米国の核実験の犠牲となった第五福竜丸の被曝をきっかけに、広島・長崎以降ずっと続いていた核の連鎖による犠牲者の鎮魂と未来への対話を目的とした関連資料の展示をするために白井晟一が提案した実現していない建築プロジェクトです。
撮影:長崎剛志
本展は、当時の詳細な図面と後年作られたその模型を中心に白井の理念を振り返りながら、3.11を経験した現在であるからこそあらためて核の問題を捉えなおしてわたしたちひとりひとりの対話をうながし、後世へ語り継ぐことを目的とした内容となっています。
撮影:長崎剛志
会場では1954~55年に作成された原爆堂の手描き図面とドローイング、館外初公開となる武蔵野美術大学美術館図書館所蔵の『原爆堂』模型、本展のために竹中工務店によって作られた原爆堂のCG映像のほか、原爆堂プロジェクトの時代背景を知るための関連年表と村井修他ら撮影による白井晟一設計の建築物の写真、本展トークショーのゲストを含む各界の識者によるインタビュー映像もご覧になれます。
撮影:長崎剛志
撮影:長崎剛志
また、会場奥のSPaTioでお取り扱い中の白井晟一の著書「無窓」の新装改訂版(2010年/晶文社)は、並列展示している自装版(1979年/筑摩書房)の絶版後、著書が改訂時に修正するよう遺した指示書を反映させたもので、会場内に展示されている写真を含む建築写真16ページと松山巖の解説付きのお得な普及版となっています。没後35年となる白井晟一の言葉をかみしめながら本展をご覧いただけるとさらに理解が深まるとおもわれます。

尚、会場内の関連年表に記載されている「灰は灰だよ」(原題『美しい水爆だって?』/日宣美展出品作品)は、当ギャラリーの創設者河野鷹思が1957年に制作した諷刺ポスターです。こちらもSpaTioにてご覧頂けます。

*本展は有志の「原爆堂」展制作グループによって企画・構成されました。
*文中敬称略
*24日のトークショーはおかげさまで予約が満席となっております。
●『白井晟一の「原爆堂」展~新たな対話に向けて』
6月30日(土)まで
11:00~18:00(最終日16時まで)
会期中無休・入場無料
