ピンクの海といわれる南仏カマルグの塩田、パリ14区のエミール・リシャール通り、凱旋門、オーヴェル地方の春など、フィルムカメラでフランスの風景を撮り続けているHiro TOBE氏。5回目となる本展は、パリ、ブーローニュの森をテーマにした作品18点をご覧頂けます。
「面白いと思ったものをプリントするのが楽しい。楽しく思えるものを探す。時間帯を探す。目的が手段化、手段が目的化する。その一連のプロセスがカメラを始めたきっかけですね」と、TOBE氏。写真を撮影することの楽しさを認識することができるのは、氏の使用するカメラにも関係がありそうです。
撮影カメラは、ドイツのプラズマート社(PLASMAT Gmbh)が1931(昭和6)年に発売した「ローランド」を使用。120フィルムを使用して6x4.5cmのいわゆるセミ判の撮影ができるカメラです。レンズは、プラズマートという大口径のレンズで、6枚構成。このレンズを設計したのは、テッサー、プラナー、ウナーなどを開発した、レンズ設計の天才パウル・ルドルフ博士によるものだそうです。ちなみに前回はハッセルブラッドのSWCでオーヴェル地方の春を撮影されていました。
「皆さん写真のメッセージ性やアートの観点でお話されますが、私は写真について非常に則物的で、自分が面白いと思うものを探して形に残す。見たものが単純に映像になるっていうのが楽しいんです。それが写真の全部だと思っています。」とTOBE氏の考え方はシンプルです。
「自分のいる空間を撮りたい。言い換えると空間を撮っても何も写らない、けれどその空間を撮るというこはそこに自分がいたという記憶を写すこと。巨大なセルフポートレートなんですよ。」と、事物そのものの本質を見きわめようとするTobe氏の撮影スタンスが伺えます。
作品ファイルもご覧頂く事ができます。
TOBE氏の在廊時には、撮影秘話、カメラについてのお話などを伺ってみてはいかがでしょうか。
□Une promenade au Bois photographies Hiro TOBE
2月8日(土)までの開催です。
11:00-18:00