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2010年 06月 14日
6月5日(土)の安藤直人教授によるセミナーでは、日本の木材事情を、研究室の説明も交えて分かりやすく解説してくださいました。「木を切ってはいけない」と思っていたYは、まさに目から鱗。とても分かりやすいお話でしたので、セミナーの様子を一部抜粋してご紹介します。
「なぜ農学部?」 うちは、木質材料学研究室という部屋なんですけど、木質材料、構造、建築で、建築のなかでも住宅、やはり木造で一番多いのは住宅ですが、当然それにデザインもついてきますし、いろいろなものがついてきます。だから万屋です(笑。住宅などやるともう雑学ですから。雑学の固まりです(笑。 そう考えると、我々が「農学部」でやっている。面白いと思いませんか? 農学部でこれをやっている。建築(工学部)ではこれをやっていない。要するに、「建築」はどこにいっちゃったのかというと、、、 日本の木造を建築学会が禁止した、という宣言(1959年、日本建築学会が「防火、台風水害のための木造禁止決議」を可決)をだした。それ以降、やはり建築学、建築学科の中で木造というのを推奨しなかった。で、当然研究対象としては、鉄鋼、高層、超高層、そういうことにずーーっとシフトしていくわけですね。研究も。 ですから、木造は街の中に投げ出されていった。僕らは「木」からスタートしてますから、この「木」をわっと広めないといけない。そのためには、木造建築をターゲットにあげていかないといけない。「農学部にある」ということは、木を知らないと出来ないです。木というのは魅力的だけど難しい材料なのです、ばらついてるし、いろいろなものがあるし、だから木を知らないといけない。そして、木を活かして世の中に受け取ってもらえるようにしないといけないのです。 「木を切ることは良いことですか?」 日本の国土の2/3は森林なんです。その中40%は人工林なんです。人が植えた山なのです。 実態としては日本は大変な面積の森林国なんです。その40%は、祖先たち(祖父、曾祖父ぐらい)が植えているのです。全体としてはかなり人口的な山です。 この山がどうなっているのかというと、木は成長するので、ボリュームはどんどん増えていきます。どこが増えているかというと、人口林が増えています。小さな苗木がどんどん大きくなった。これが今です。 ですから今、60代以上の方々は森を守りましょう、木を育てましょうと教わってきました。で、習った人たちが今の子供達にそう教えます。 ところが、日本はいまや、木が成長してすごく豊かな状況になっています。 これが、「常識」「非常識」の話になりますが、実は日本の森の環境は、昔と全然ちがうのです。 で、戦後、木を植えてお金になる、それ以前に、戦後ですから木をいっぱい切りました。戦争で家を焼かれましたから。 日本の木を切りすぎたのは事実です。で、その木を取り返す為には、あるいは、木がいずれ(値段が)高くなるよという思いもあって、すごい面積を植えていったのです。その木が成長して、今から国産材が使える時期に入ったのです。 では、今まではどうだったかというと、戦後使いすぎて、そのあと輸入をしていました。輸入材で実は助かっていました。 「日本の木造の住宅」と言っていながら、実はほとんどの家が外国から輸入した材でついこの間まで作られていました。今は全くちがう時代に入ってきたのです。 問題は、最近の20年間、山がお金にならなくなり、林業が崩壊して、若い木を植えていません。 ということは、我々が今やらないと、これから50年後に使う木が今のようにない世の中になります。だから、我々は気が長いことをしなければいけない。 要するに、増えてきたところを使いながら、木を植えていく。 木は使っていいのです。使うべきものを正しく使うことが、正当化されている時代です。 以前、新宿の街頭インタビューで、「木を切ることは、良いことですか?悪いことですか?」と聞かれて、通る人全員が「悪いこと」といっていました。 確かに、「世界の森林が消失し、、」というニュースを聞きますが、そうすると木を切ることは悪いことだと思ってしまいますが、日本の状況に限ってはそうではない。植えて、今から使う時期に入っている。 我々が、木をなんとかうまく使ってもらえるように、とやっているのは、50年後のことも見据えているのです。 「自給率50%へ」 木材自給率は今24%です。10年前は18%ぐらい。 日本の国としては、自分の家にモノのがあるのに、よそで借りてきている状況です。 これを現政権は、2020年に自給率を50%と明言しています。 外国材よりも、日本の業をしっかりさせて、そして循環社会をスタートさせるという考え方です。 我々が今、木を植えれば50年後60年後、家を建てる時に丁度適した材ができる。 もちろん、木はずーっと太っていくのですけれども、大きくなりすぎても、使い方としては適してない。だから太い木も欲しいけど、住宅に適した木は50年~60年で定期的に伐採して植えるという繰り返しをしていく。これから日本は少子化していくんですけれども、安定的な社会をつくるということは、こういったところから実はやらないといけない。 自給率24%とありますが、実は、製材、合板、パルプ、紙もそうです。木から作っていますから。紙はほとんどが輸入品です。それこそタスマニア、ニュージーランド、もう世界中からパルプやチップが来ています。 今、日本は合板が急上昇で、昔はラワン合板という言い方をしました。 ラワンというのはフィリピンにあった木なんですけど、その後フィリピンは切り尽くしまして、いわゆるボルネオ島、カリマンタン島、あるいはインドネシアからほとんど輸入してたんですが、それがいま日本の国産材で合板が出来る時代なのです。 こういう資源をどうやって有効につないでいくか。日本の国土を実は守るため、大げさですが、森が強くないと、大洪水がおこるんですよね。雨が降ってすぐ鉄砲水になる。 それから我々が飲んでいる水。日本は蛇口をひねれば水が飲めるという大変ありがたい国です。森に蓄えて水が飲める。で、それが川で流れて海までいって、そしてプランクトンが育って魚が食べられる。食物連鎖も環境連鎖もものすごい大きなスケールなんですね。 我々は木を動き出させないといけない、木を切って(使って)いく側なんですけど、決して悪人ではない(笑。切ってはいけない木は切りませんから(笑。 とにかく、木造、木質構造を推進していく必要が、今の我々の研修室の使命だと思っています。
by gallery5610
| 2010-06-14 19:03
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