スタッフYです
上野の国立科学博物館へ河野鷹思デザインによる巨大タペストリーを、昨年5610で展覧会をしてくださった町田さんと一緒に行ってまいりました。
ホットニュースでもお知らせしましたが、巨大タペストリー「かなしみの塔」と「よろこびの塔」は、70年の大阪万博の際に日本館の「原子の塔」の内壁を飾っていたものですが、ちなみにタペストリーのみならず日本館の展示設計の代表者が河野鷹思です。
日本館展示設計記録をみてみますと、仲條先生、福田先生、杉浦範茂先生らデスカOBの方々をはじめ、現在第一線でご活躍の方々のお名前が多数いらっしゃいました。
デスカに残っている資料に「かなしみの塔」の図版があります。
↓こちらがその図版。下部の白い部分が、出入り口の部分です。
タペストリーのデザインについては、河野の作品集(マイデザイン)の中にコメントがありますので、以下にご紹介します。
<原子の塔>については出展者日本政府側の解説書によれば、「4号館には二つの塔が立っています。一つは日本の貴重な被爆体験から生まれた平和への願望を、もう一つは原子力の平和利用と人類の幸福への願いをこめた<かなしみの塔>と<よろこびの塔>。共に科学と人間のより豊かな未来のため建てたシンボルであります……」と。
然し、このデザインと表現手法については当初から出展者側と設計者グループとで多くの議論を読んだ。一時は外国のデザイナーに製作を委託しようかという珍説まででたと聞いたが、それが私にお鉢がまわって来たようだ。
何れにしてもデザイン企画中、各方面から意見や質問が殺到して設計者を驚かせた事だけは肝に銘じて忘れない。
展示の概要が発表された時の一部の(新聞の)見出しを紹介すると……以下。
・原爆展示、またクレーム
・悲惨さ、どこへ=芽委員ら、しぶい顔(注:政府出展懇談会座長、芽誠司元東大総長)
・政府の対外配慮で…恐怖感ゼロ
・原爆タペストリー、タブーだらけの「悲惨さ」変じて童話……など、など。
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当時、物議をかもしたそうです。
さて、前置きはここまでにして、早速会場へ。
「かなしみの塔」です。
撤去の時に切り刻まれてしまって現状は継ぎ合わせの部分がありますが、当時は1枚物で製作されています。
「吊ってあるところが観たかったなー」と町田さん。
「よろこびの塔」はこちら。こちらのほうが大きさがわかりやすいでしょうか。
会場には、コンパニオンのコスチュームや太陽の塔のレリーフなど当時を彷彿させる展示の数々。
電話の移り変わりの展示に反応している町田さん。
最後にスタンプも押して、地球館の剥製群も堪能し、博物館を後にしました。
ショートカットのご報告でしたが、タペストリーは2月8日(日)まで展示されていますので、ぜひご覧いだけたらと思います。